分断1
わたしは、自分の持ち家に住んだことがなかった。父の職業の事情でわたしは3年ほどで県をまたいで移動した。すべてが変わった。その日から友も教師も変わった。好きな女の子もいなくなった。言葉も習慣も、こまかいことを言えば授業の進度もちがった。私が得たものは、「目の前のその光景はある日とつぜん変わってしまうものなのだ」ということだった。愛も友情も嘘っぱちだと思っていた。ときおりシリアスな文芸作品などで人間不信などを描くものがあるが何を当然のことを繰りのべているのだろうと思っていた。
そんな人間に永続的な家庭生活など送れるはずもなかった。私は誰かの愛情を信じていなかったし、ベッドタウンA市に住みたがることもまるで理解できなかった。そんな、ある日とつぜん変わるようなことを信じてどうしようっていうんだ。
そういう考えの人間が誰かとともに暮らせるはずがない。目の前の風景はいつかは変わると思っているから、誰も信用してなかったのだ。この世さえも現実とは思わなかった。
そして今。わたしはそれを身をもって証明している。何もかもがくだらねえ。そんな気持ちだけが本物だった。
1月1日に生まれた。祝ってもらったことがなかった。
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