方丈記
佐藤春夫が『方丈記』を訳して出版したのは1937年で、そろそろ自由にモノが書けなくなってきたころだ。45歳である。
「ゆく川の流れは絶えずして」にはじまる冒頭を知らない人はいないわけで、それを訳すのは抵抗もあったことだろう。
その全文に今日はじめて接したわけだが、面白かった。
わけても、貧窮にあえぐ都で、まき用の木が売られていて、自宅の壁などを売りに出しているのだが、中に金箔の入ったものがある。それは寺院などを壊して持ってきたものだ、との記述に、そらおそろしい気がした。そこまで貧困は進んでいたのだ。
ほかにも、戒律を守るつもりがなくても人とコミュニケーションをとらぬ世捨て人は必然的に戒を守ってしまう、との記述になるほどと思ったりした。
人より古文に親しむことができる立場にありながら、読まねばならないもの以外は読まない。現代語訳は本当にありがたい。
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