今昔2

 ここで述べたいのは芥川の『好色』という短編、およびその元となった『今昔物語集』第三十巻第一話に所載されたストーリーだ。

『今昔物語集』は各巻にテーマが設定され、仏教のありがたいお話や、当時の風俗に材をとった話、泥棒とか殺人者とか犯罪ばっかりコレクションなど多種多様である。その中にはあのかぐや姫の物語や能などほかの芸能の原作となったストーリーもふくまれている。

三十巻は恋愛話ばっかりを集めているが、仏教説話集という性格上、恋愛には否定的で、ここに集めているのも悲恋ばかりだ。恋愛の末の幸福というものは、まるで存在しないかのように(あるいは、それが作者の本心かもしれない)、捨象されている。

この恋愛話コレクションの劈頭を飾るのが、ここに紹介する物語だ。芥川の『好色』という短編小説の素材となっている。

ただし、この『好色』という作品、ハッキリ言ってあんまり評判がよくない。理由はいくつかあるだろうが、ひとつにはこれが原話そのまんまで、ほとんどアレンジが見られないことだ。


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