王朝もの(好色1)
芥川龍之介の「王朝もの」と呼ばれる諸作は、『今昔物語集』『宇治拾遺物語』など平安時代の説話文学に材をとり構成されている。いずれも物語のアンソロジーであり、たくさんの物語が収録されている。したがってどの話を選ぶかからすでに芥川の批評眼がいかされているわけだが、彼はあきらかに、王朝文学を題材にすることによって当時の習俗を描こうとしているのではない。ひょっとすると当時の人はまったく感じていたなかったかもしれない近代人の、もっといえば人間の懊悩を表現したいと考えていた。逆に言えばその観点から適当だと思われた話が選ばれたのである。
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