土葬

 江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』は、大金持ちとうり二つの貧乏作家が、大金持ちがてんかんで亡くなったのを機に入れ替わり、その資産をつかって以前より夢だった幻想の楽園を建設するという話だ。死者との入れ替わりができたのは、その地方には「高位の者は土葬にする」というルールがあったからだ。


わたしの祖父は土葬だった。ただし、高位だったからではない。その部落では土葬が当たり前だったからだ。火葬場が遠方にしかなかったので、育った習俗だった。


墓穴は部落の男が持ち回りで掘った。当然、父も掘っていた。


父がこう言っていた。

「墓穴掘るとね、昔埋めた遺体が出てくるんだよ。それが臭くっていやだった」


遺体は五年はそのままだったという。土中は空気にふれないので、腐敗が進まないのだ。さしもの江戸川乱歩も、その知識はなかったようだ。

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